反復刺激試験

神経・筋接合部(neuromuscular junction)の機能の評価に用います。

運動神経と筋の接点である神経・筋接合部(または終板 end-plate)は、神経終末の細胞膜(シナプス前膜)と、筋形質膜(シナプス後膜)とが間隙をはさんで接しており、アセチルコリン(Ach)によって興奮が伝達されています。

正常な場合には刺激周波数や刺激回数が増減しても誘発筋電図上M波の振幅・面積は一定に保たれるが、疾患などによっては漸減現象や漸増現象が見られます。

 

  ★ 漸減現象(waning)

低頻度の反復刺激をすることにより、M波の振幅・面積が減衰する現象をいいます。

アセチルコリン受容体(AChR)数の減少によるもので、重症筋無力症(myasthenia gravis;MG)で認められます。通常では、漸減現象は4、5発目まで徐々に振幅・面積が減衰し、それ以降は横這いかやや回復傾向を示します。

MGの診断では、外眼筋・頚筋・上肢の近位筋に続いて手掌筋が侵されることが多いため、とくに外眼筋の検査は欠かさないことが重要です。しかし、外眼筋の検査は手技的に困難であるため、一般的には眼輪筋が利用されます。

 

  ★ 漸増現象(waxing)

筋無力症候群(Lambert-Eaton-myasthenic;LEMS)では、シナプス前膜のACh遊離部位数が減少するため、放出されるACh量子数が減少しています。その為、低頻度刺激でのM波の振幅や 面積は非常に小さいが、高頻度(10Hz以上)刺激にてM波の振幅に著明な増大が見られます。この現象を漸増現象(waxing)といい、それは特に20〜50Hz刺激で顕著となります。

 

 

1) 検査方法

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被検筋に電極を装着し被検筋の支配神経にて刺激します(MCSの測定方法に準ずる)。

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被検筋を固定して、筋収縮による動きや頻回刺激で刺激部位がずれたりするのを防ぐことが必要です。

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刺激は最大上刺激を用い、刺激条件が決まったら、検査終了時まで刺激部位から刺激電極を離さないことが大切です。

 

2) 測定条件

刺激周期は1〜5Hz、刺激回数5〜10回程度が一般的ですが、漸増現象が疑われる際には、刺激周期を10〜50Hz、刺激回数は30回以上で行います。

 

3) 検査結果の評価

漸減現象ではM波振幅(面積)の減衰率を、漸増現象ではM波の振幅(面積)の増加率を求めて評価し、通常は、減衰率は10%以上、増加率は200%以上の場合に異常と判定します。

 

減衰率(%) = 1 -  × 100

 

増加率(%) =  × 100